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中国・四国

2_04 神話の国出雲と小泉八雲

<松江城下:小泉八雲旧居>

旧冬、半世紀ぶりに、年齢差5年の教え子たちと4泊5日の山陰山陽に「修学旅行」をしてきました。テーマは「いつまでも輝き続けるための旅」です。重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)中心で、「引率者」の好みに偏ったコースでした。その報告です。

八雲立つ出雲/出雲国(島根県)は、古代日本にあって、大陸や半島の文化をいち早く導入し、中でも製鉄が古くから行われた「表日本」というべき土地でした。『古事記』の中にも製鉄と関わる神話が残されています。天つ国から追放された須佐之男命が八岐大蛇を退治する場面は高校の教科書にも載っています。物語の背景には、砂鉄採掘のため金穴流(かんながし)で川を荒らし、燃料の炭のために山林を荒廃させて洪水を起こす製鉄集団と下流の農耕民の対立があると言われています。三種の神器となる天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)が八岐大蛇の中から出てくるのも示唆に富んでいます。

須佐之男命は、助けた櫛名田比売(くしなだひめ)と暮らす宮殿を造るに際し「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」の歌を詠みました。「八雲立つ」は出雲の歌枕です。古事記の世界そのままに、出雲大社以外にも八重垣神社をはじめ、多くの史跡が残り、古代の出雲が大陸とつながる先進地であることを実感しました。

ヘルン先生/ラフカディオ・ハーンはギリシャ生まれのアイルランド育ち、その後フランスやアメリカで生活し、明治23年に来日、松江に英語教師として赴任、ヘルン先生と呼ばれました。松江で伴侶との出会いにより帰化、「八雲立つ」と妻小泉セツの姓と合わせて名前としました。セツは出雲大社宮司の家系の育ちで教養があり、八雲に昔話や説話を語って聞かせました。それが『怪談』のもとです。英語名は『KWAIDAN』は、セツが「か」を「くゎ」と古い日本語の発音をしたからです。

ハーンの強い希望により、新居を松江城の堀に近い武家屋敷を借りました。今も「小泉八雲旧居」として残っています。ハーンが松江に住むのは3年足らずでしたが、小泉八雲といえば松江という印象を持つのは、神話の世界と松平藩の城下町として文化の香りを残す土地柄で、その中から『耳なし芳一』や『雪女』が世界中に知られたからです。残念ながら、同じ城下町でも宇都宮では生まれなかった作品です。

見学後、宍道湖の夕日を見ながら神話に浸り、大蛇のように地酒で酔いました。

<八重垣神社:神話の世界が残っている>
八重垣神社:神話の世界が残っている

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