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農家を支える日々のなりわい

カミナリのことだが、敬称を付けて「らいさま」という。夏の日照り続きの時に、畑作地にとって夕立が来て、程良く雨を降らせてくれるのは、文字どおり「干天の慈雨」であった。中でも陸稲(おかぶ:標準語は「おかぼ」)は日照りが続くと収穫が期待できないので、手桶に水を入れて一畝ずつ水を掛けた。川がすぐ近くにありながら、段丘面の上にある集落は水が使えなかった。「らいさま」は恐ろしいよりも、歓迎すべきものであった。

らいさま

雷様
冠婚葬祭と人々の繋がり

墓石が卵の形をしていた「卵塔」が語源で、さらに墓地のことになり、卵塔場が「らんとば」となった。子どものころは意味が分からなくても、何となく気味の悪いところを指す言葉で、近くを通るときはいつも駆け足で走りすぎた。育った地域には古い風習が残り、埋め墓と祀り墓が違い、石塔は地域の共同の「らんとば」に建てた。今は自分の埋め墓に石塔を建て、共同の祀り墓には花も手向けなくなってしまった。世代が代わり、どこが自分の「らんとば」か分からなくなってしまっている。

らんとば

卵塔場
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