動物や植 物との関わり
アイソ(ウグイ)の産卵場所。上流と下流側は幅1メートルほど、中程を膨らませて、両側を砂利で囲ってきれいな小石を並べ、アイソを産卵する場所に誘導した。アイソが中に入ったころを見計らい、二人で上下から藁束で閉鎖し、水を干して捕まえた。先人のアイソの習性を知った捕獲方で、きわめて効果的な漁法であった。河川改修前にはおもしろいように捕れたが、今はアイソがいなくなってしまった。きれいな婚姻色をしたアイソを「魚串(いおぐし)」に刺して囲炉裏で焼いて、山椒味噌で食べた。香ばしい味はふるさとの川そのもののである。
あいそば
アイソ場
動物や植物との関わり
イモリのこと。腹が赤いので、アカハラドジョウと呼んでいた。田んぼや沢筋にたくさんいた。赤い腹部に黒い斑点があり、気持ちいい物ではなかった。子どものころは、腹の赤いヤモリも同じもので、イモリが池から陸に上がって、名前だけヤモリになるのかと思っていた。両棲類と爬虫類の違いなど全く分からなかった。ヤモリは時々梁から座敷に落ちてくることもあったが、家をも盛る「家守」であるから、いたずらなどせず、縁の下に戻しておいた。湿田から乾田になって、今ではイモリの生息場所も少なくなって、田んぼで泳ぐイモリを見ることもなくなった。
あかはらどじょう
赤腹泥鰌
動物や植物との関わり
アケビのこと。甘い物に飢えていた子どものころに、あきびが一番の甘さだった。庭の柿の木に絡まった蔓は子どもの腕よりも太く、隣の梅の木にまで伸びていた。9月の末になると、目立たなかった茶色の皮が紫色に変わり、少しずつ口を開けてくる。数日後には食べ頃になる。学校から帰って食べようと思って木に登ってみると、「烏め」にやられた後だった。残りの「あきび」を口いっぱい頬張り、種を思い切り吐き出した。砂糖の甘さとは違う物である。今もあきびは健在だが、空き家になって「烏め」の独壇場である。
あきび
動物や植物との関わり
ヤブカンゾウの仲間の総称で、正式な意味の「アマナ」とは違う。子どもの頃、豊かな自然の中に住んでいながら、植物に関心が無かった。これは個人の問題でなく、生活に関わりないものには関心が薄かったという地域の人々の関心度がそのまま子どもたちにも影響したものである。「アマナ」は土手に咲き、身近なものであったが、正式名と違ったまま覚えて今に至っている。
あまな
甘菜
動物や植物との関わり
外来種のムラサキツユクサのこと。庭植えにすると丈夫で繁殖力もあり、切り花にしてもすぐに回復する。花が紫色をしていて、ブルーブラックのインキに似ていたのでインキ草と言っていた。「インク」でなく「インキ」と言っていたが、今でも会社の名前は「インキ」が使われている。
いんきぐさ
インキ草
動物や植物との関わり
イタドリのこと。若芽の時に口にしたが、苦みが強くて食べられなかった。夏を過ぎると通学路の「うますっかんぼ」が背丈以上に伸びて、実が重くなるころは道路の方に倒れかかる。馬も食べなかった。春のすっかんぼ(スカンポ)はよく口に したが、酸っぱいだけで決して美味しいものではなかった。
うますっかんぼ
動物や植物との関わり
「ガマガエル」に敬称のおを付けた。ヒキガエルのこと。蝦蟇は屋敷の縁の下などにいて害虫を食べることから、家族の一員のように大切にしていた。そんなことから敬称を付けて「おがまがえる」になったのであろう。両棲類でありながら、どうして水辺から離れて生活していたのであろうか。身近いに居たのに生態については関心がなかった。
おがまがえる
お蝦蟇
動物や植物との関わり
「つくつくぼーし」のこと。「つくつくぼーし」の鳴き声は「おしーつくつく おしー つくつく むぐれんぎょす むぐれんぎょす」と擬音化され、そのまま「おしーつく」が名前となった。標準語は下の方の「つくつく」から命名されたが、八溝言葉の「おしーつく」の名前の方がふさわしい。
おしっつく