top of page

50 畳語や連用修飾語

生活圏を同じくする地域限定の擬態語や擬音語、さらには同じ言葉を重ねる畳語などが発達しました。より具体的に伝達がしやすい反面で、粗野な響きもあります。
『じゃっちゃか』 雷雨などで雨の降り方が激しいと「じゃっちゃか降りになった」と言います。標準語での「ザアザア降り」で、まさに集中豪雨のような降り方です。また「じっちと降る」と、状態を表す助詞「と」を付けて降り方の激しさを表現します。
『もれもれ』 沢の小扇状地扇端の湧水地は「もれもれ(もれんもれんとも)」伏流水が湧出しました。魚の群れが「もれもれいる」というのは、湧くほど魚影が濃かったからです。もれもれ湧く清流で、もれもれいた魚と少年時代を過ごしました。
『びしばし』 もたもたしていると「びしばしやれ」と檄を飛ばされます。「てきぱき」とほぼ同じで、より強い感じがします。同じように「ぎっきと」がありますが、こちらは順序建てて事を進めることで、強引さを伴うのが「びしばし」の語感です。
『みしみし』 建物が揺れる音ではなく、しっかりとという意味で「みしみし食べおごれ」と言えば、十分召し上がれと勧め、勉強も怠けていると「みしみしやれ」と督励されます。
『びっぴと』 時間を置かず物事を進めることです。決断が付かず躊躇していると「びっぴとやれ」と言われます。「せっせと」もありますが、こちらの方が軽い響きがします。
『ごっこど』 遊びながら食べていると「ごっこど食って宿題やれ」と𠮟られます。しばしば「ごっことやれ」と𠮟られましたから、生き方にも大きく影響しました。
『よぐよぐ』 標準語の「よくよく」が濁音化したものですが、十分にいう意味でなく、負の感情が極端な場合に使います。「今度の通信簿はよぐよぐだったよ」と言えば成績の低下したことで、その結果親から「よぐよぐおごられっちゃった」と言うことになります。
『ぶぎぶぎ』 麦と米が半々の「半麦」、さらには麦が7割ということも珍しくありませんでした。麦は米に比べて吸水率が悪いので「います(事前に煮る)」必要がありましたが、時間が少ないと、麦飯の麦だけが堅くて、「ぶぎぶぎ」しておいしくありません。
『べちょべちょ』 カマドで炊く御飯は、その日の水加減や火加減で御飯のおいしさが変わります。早く火を止めすぎると麦の糊気が強く、臭いのある「べちょべちょ」した御飯になります。季節がずれた冬至の唐ナス(カボチャ)は「べちょうべちょ」でした。
『ぽくぽく』 「ほくほく」の転訛で、カンプラ(ジャガイモ)の熱々のものは塩を振って食べると「ぽくぽく」感がしました。サヅマはぽくぽく感がありませんでした。
『ねちょねちょ』 さっぱり感でなく、歯の裏側に粘り着くような「はぬかり」の状態が「ねちょねちょ」です。「粘土(ねばつち)」を捏ねると指が「ねちょねちょ」します。

bottom of page